「スズナリ九龍城 幻燈記」トークセッション:12/9久保井研さん(劇団唐組)×タニノクロウさん(庭劇団ペニノ) MC:野田治彦さん(ザ・スズナリ)

2000年、ザ・スズナリで行われた伝説的・世紀末イベント[闇夜幻燈逆説華祭]。その全貌を記録した作品スズナリ九龍城 幻燈記」を今回、下北沢演劇映画祭で、初めて上映。

初回上映の12月9日の上映後、久保井研さん(劇団唐組×タニノクロウさん(庭劇団ペニノ)と、野田治彦さん(ザ・スズナリ)によるトークセッションが行われました。

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野田治彦(以下、野田)

「本当は極彩色肉筆絵巻「座敷牢」を上映する予定があったのですが完成せず、上映できませんでした。「少女椿」はディレクターズカットになっていますが、実際に上映したのはちゃんとしたものでした。「少女椿」自体がヤバいアニメなので、外国から帰って来るときに成田の税関で没収されたり、警察からも上映するなと言われていたりして・・・。

([闇夜幻燈逆説華祭]は、)そういうアンダーグラウンドを全部ぶち込みたかった企画です。」

 

タニノクロウ(以下タニノ):

「ドキュメンタリー的に撮ると面白いですよね、どの企画も。大きくても小さくても、制作過程を見るのって、自分が作っているからかもしれないけど、こういう風に作っているんだって。カメラワークも凝っているし、それも含めて形が残るっていうのはいいこと。ペニノでも一度ドキュメンタリーを撮ったことはあります。テント芝居をやったことがあって。唐組を学生の頃見ていてやりたくて・・・」

 

久保井研(以下、久保井):

「台風来ちゃって大変なことになって。こっち(*唐組)はそういうものに寄り添いながらやる集団だけど、建てちゃった後、どういう風に自然と向き合うことが想定外だったみたいで。」

 

タニノ:

「建てたこともなかったので、思いついたままにやっちゃって。」

 

久保井:

「50m使ってて、みんなオペラグラスで見ながらっていう(笑)。うちがやってる空き地があって、「そこを借りられないか」と、どうやって借りたらいいか話が来て。電気も通さなきゃ水道も通さなきゃいけない、便所も借りなきゃというのがあって、ああいうのって月払いだから、「1ヶ月借りるから、うちがやった後にやったら?」っていうのが最初。打ち合わせしたきりで気になっていて、うちが鬼子母神に引っ越して公演やってて、(ペニノは)「どうなってるかな?」と思って行ってみたら案の定、大変なことになっていて(笑)雨が溜まってて。」

 

タニノ:

「めちゃくちゃなことになってました。」

 

久保井:

「見に行ってみたら、50mの間に、小川が流れてた(笑)。」

 

タニノ:

「OLが洗濯して干すというのをやりたくて。」

 

久保井:

「ガラス張りの喫煙所みたいなのが端っこの方にあって、みんなしてタバコ吸ってる間にだんだんモクモクになって、みんなが倒れていくみたいな・・・(笑)」

 

タニノ:

「何をやっているか僕もよくわからなかったんだけど、ナントカさんという評論家のかたが、「人をバカにするんじゃない」と帰りました。」

 

久保井:

「声も聞こえないんだよねー!(笑)サイレント。OLの生態系が、小川のあちこちで上流だったり、下流だったりで、こう、同時多発的におこっていて面白かった。で、その次か。」

 

タニノ:

「そうです、(久保井さんに)出てもらいました。これ一本だけですね、(ドキュメンタリーを)撮ったのは。形に残らないものなので、面白いですね。裏側を取るとこんなに面白いんだなと。」

 

野田:

「今回、これを上映したのは演劇映画祭という枠の一環なんですよ。この企画もそうですが、“演劇人が撮った映画”を上映しているのですが、タニノさんは映画を撮ることは?」

 

タニノ:

「いやあ、ないですね。話があったこともあるのですが・・・」

 

久保井:

「作るものは、割と「映像的だ」なんて言われてるじゃない。」

 

タニノ:

「僕は、目の問題で、長い間、光を観ていることができないため、映画はそれ自体を滅多に見る事が出来ないので、“よくわからない世界”という感じですね。

僕が観た数少ない映画の中に、ちょうど今日見たこの作品と同時期の、ツァイ・ミンリャン監督の作品があるのですが、音もほとんどないし、ほぼ無声映画のような感じですが、めくるめく世界で、台湾人の日常をただ長回しで映している映像で、雰囲気的にはすごく似ていて、スズナリの歴史というのがツァイ・ミンリャンの世界に近いのかなと。僕はすごく影響を受けたので、ツァイ・ミンリャン監督に。久保井さんと一緒にやった作品などはとても影響されています。

僕は、「なんで今日このトークに呼ばれたかな」と思いながら観ていたのですが、僕が数少ない、観ている映画の中に、久保井さんと一緒にクリエイションしている中で影響しているものがあるし、そういったものやスズナリの雰囲気みたいなものを思いながら、映画も久しぶりに見て、共通点はそこにあるのかもしれない。生活くささとか。その中のちょっとしたもの、みたいなものが。」

 

久保井:

「人を見るの好きでしょ? だから、目ざといよね。すごく。人の癖だったりなんだったり、今何考えてるんだろうとか思いながら人を眺めているのがね、その視点は芝居づくりにものすごく出ているんです。演出家として。で、だからなんとなく「映像にしたら面白いんじゃないか」って思っちゃうんだと思うんだよね。

あんまり、そういう風に、芝居作るときに、その人の特性だとかって、虚構の世界の登場人物だから物語の中で成立していけばいいわけじゃない?だけど、物語の中にものすごくその人のフォルムだったり癖だったり、そういうものが盛り込まれると、出来上がったものがすごく映像的な印象になる。

俺は、言葉の人間だから。俺は唐十郎のもの以外は演出できないしする気もない。言葉ありき。言葉をどう立体化していくか。その視点とはまた違う視点があるという気がする。今日みたいなものにビビッドになっていることとか・・・。でしょ?

僕は足がつるところとかそういうとこばっかり観ていて、そういう習性でやっているけどさ。」

 

タニノ:

「いや、本当に面白かった。ドキュメンタリー撮りたいって思いました。」

 

久保井:

「自分がやってるところ・・・は無理か。」

 

タニノ:

「余裕がないですよね(笑)』

 

久保井:

「こんなの回してる余裕がないな。」

 

タニノ:

「でも絶対に、新作作るときに回した方が面白いですよね。」

 

野田:

「”観客回遊型”についてはどうですか?自分の作風と違いますか?」

 

タニノ:

「やりましたよね」

 

久保井:

「やったよね。うちなんかは、一定のルート通らないと劇場に入れないっていうのは、そういうところはある。神社のこっちに並んでもらっておいて、鳥居をくぐってことにー、という、そういう面白さは絶対あると思う。ただここまで一つ一つがイベント化しているものはない。これはお客さんだって、めんどくさいという人もいるでしょう。」

 

野田:

「あるところで、女性のお客さんが本気で怒っていました。」

 

タニノ:

「今もああいうのできるのでしょうか・・・。何か書かれたりしそうですよね。」

 

久保井:

「最近は俺だってパワハラって言われちゃうから。ダメ出しがパワハラになっちゃう。」

 

タニノ:

「気をつけるようになりますよね。ところでこれって例えば、今スズナリでこの企画ってできるのですか?」

 

野田:

「できますよ。」

 

タニノ:

「! スズナリは変わらない、それがすごい!この映画を観てて、結局はスズナリという劇場がすごいっていう感じに見えてくる。」

 

野田:

「ああいうことやれない劇場がすごく増えてしまった。ひと昔前はそんなに変わらなかったのですが。スズナリは成り立ちからいって、劇場として作られていないということもあります。」

 

久保井:

「使い方のポテンシャルあるところが使わないことにはどう使っても同じだけど、そういうことが許されている小屋であり続けることは、考えようによって、やる側としてはありがたいこと。」

 

野田:

「法的な杓子定規のところに劇場が間に入って、できる限り劇団に自由に創作してもらうというのがスズナリの立ち位置」

 

久保井:

「使う側がわかってない、今は。そのぐらいのことやってんだよって。」

 

野田:

「まあでも、こういう形態のものをもう1回、僕は本当に、このお二方と悪巧みして、アンダーグラウンドなことスズナリでやってくれたらなあって。」

 

タニノ:

「九龍城って、割と、舞台をデザインするときに参考になる。写真集とか出ているので。実はすごく機能的にできていて。生活するために作られて増築されているから、すごい機能的に作られている部分があって、ずーっと、上の方の人の排泄物が、落ちる部分が色々違っていたりとか。面白い知恵なんだけど、同時に複雑になってできていたり無意味になっていたりする部分が、人間の作ったものとしてユニークだというのがあって、そういう考え方というか。演劇作る上でそれが重要だと思うし。」

 

野田:

「最初から計画で作られたものではない、どんどん継ぎ足されて途中で変更されていった集合体。」

 

タニノ:

「知恵が詰まったものは面白い。そいういうのを観てから舞台美術を考えた時期がある。刺激を受けました。動きがあるというか、ただの、死んでる舞台美術じゃなくて、生き物として、ある。建築物そのもの自体が生きているように見えてくるという意味でも、参考にした。」

 

久保井:

「映画で、本当にスズナリの奇妙なところを映しても良かったかもね!」

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スズナリ九龍城 幻燈記」

制作:西村功 撮影:伊藤隆也、堀之内真也 音楽:高木由美子 ナレーション:金濱夏世
幻燈記版「少女椿」編集:絵津久秋、成川武千嘉 監督・編集・CG:足立政典

「スズナリ九龍城」 スタッフ
企画・演出・美術:Jean=JacquesJyuzou 上映部門演出:原田浩 舞台監督:上村利幸 照明:神保正則 音響:臼井栞、茶木陽子(2000/105分)

▶︎特設サイト

 

12/30(日)15:30『スズナリ九龍城 幻燈記』+『スズナリ九龍城 幻燈記』トークセッション! 

トークセッション登壇:

深海十蔵さん(「スズナリ九龍城」企画・演出・美術)
MC:野田治彦(ザ・スズナリ)

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参加予定

〇山内ケンジ(城山羊の会)
『At the terrace テラスにて』『ミツコ感覚』『友だちのパパが好き』(映画)
「水仙の花」「自己紹介読本」「相談者たち」(演劇)
セレクト映画『オープニング・ナイト』監督・脚本・出演:ジョン・カサヴェテス

〇ロロ
「いつ高」シリーズ一挙上映 (vol.1~6)
「BGM」「ハンサムな大悟」「父母姉僕弟君」(演劇)
『ダンスナンバー時をかける少女』(映画)

〇松居大悟
『アイスと雨音』『ファーストキス』(映画)

〇ザ・スズナリ
「スズナリ九龍城 幻燈記」スペシャル上映&トーク
ゲスト(予定):久保井研(劇団唐組)、タニノクロウ(庭劇団ペニノ)、深海十蔵(「スズナリ九龍城」企画・演出・美術)、野田治彦(ザ・スズナリ)

スズナリ特設 WEBサイト:http://r.goope.jp/the-suzunari/free/kowloon

〇玉田真也(玉田企画)
『あの日々の話』(映画)

〇山本卓卓(範宙遊泳)
「その夜と友達」(演劇)

「午前2時コーヒーカップサラダボウルユートピア-THIS WILL ONLY TAKE SEVERAL MINUTES-」(演劇)

〇さんぴん
『NEW HERO~ドキュメンタリー(仮)』(映画) 上映&ミニ公演(予定)

〇奥村徹也(劇団献身)

『cat fire』(映画)

→プログラム一覧


会期
2018年12月8日(土)~12月30日(日)※火曜定休

料金
[ 1回券 ]一般・シニア1,500円  大学・専門1,300円 高校以下800円

[2回券]一般・シニア2,600円 大学・専門2,200円 ※2回券は別日の利用も可